市街化調整区域家を売る

市街化調整区域とは、国や自治体のまちづくりに関係する都市計画区域のひとつです。

まちづくりは国や自治体が何となく行っているわけではなく、健全に地域が発展するように都市計画法に基づいて都市計画区域などが設定し、計画的に開発を進めています。

都市計画区域には、市街化を促進する市街化区域、市街化を抑制するべき市街化調整区域、区分区域の定められていない非線引き区域に区域が分けられています。

市街化調整区域については、市街化を抑制する地域となるため、建物の建築において様々な制限が設けられています。

そのため、市街化調整区域の家やマンションは売却の際に売却価格が相場より下がる傾向にあり、場合によっては売却出来ないことも。

今回は、市街化調整区域の家やマンションの売却についてお話したいと思います。

市街化調整区域とは?

日本の国土は、都市計画を進める地域と都市計画外の地域に分けられており、都市計画地域は全体の3割弱。

都会に住んでいる人は意外に思うかもしれませんが、やはり日本の国土は約66%が森林で、農地が13%、河川や原野などを入れると90%程度が開発されていない地域となっています。

都市計画を進める地域については、都市計画法に基づいて都市計画区域が設定されており、市街化区域、市街化調整区域、非線引き区域の3つに分けられます。

割合としては、市街化区域14%、市街化調整区域37%、非線引き区域49%。

市街化区域は開発を推進する地域となり、住宅開発を推進する住宅系、商業施設の開発を推進する商業系、工場の開発を推進する工場系といった12種類の用途地域が設定されています。(平成30年4月から新たに田園住居地域が創設され13種類に)

非線引き区域は、市街化区域が開発を進める、市街化調整区域が開発を抑制するエリアであるのに対して、ひとまず開発をせずに様子を見るエリアとなります。
そのため、都市計画外ではなく、都市計画内となるので用途地域の指定なども可能です。

では、市街化調整区域にはどういった特徴があるのでしょうか。

市街化調整区域は、住宅エリア、商業エリア、工業エリアのある市街化区域の外にあり、市街化を抑制する地域となります。

市街化区域の外ということで、田・畑などの農地が多く、農林水産業の推進のため、農家や漁業関係者が仕事をしやすい環境を作るために、新たに建物を建てたり、増築すること抑制するための規制が設けられています。

そのため、積極的に開発が進んでおらず、スーパーマーケットやコンビニといった商業施設などが少なく、駅が少ないので生活が不便な面も多いです。

市街化を進めるにあたっては、住宅、マンションやビルなどの建物の建築が行われますが、市街化調整区域では建物の建築自体を抑制するので特に建築の面において細かく規制されています。

そのため、建物を建築するにあたり自治体に開発許可を取る必要があり、建替える場合も同様です。

他には、リフォームでの用途変更が認められない、容積率や建ぺい率の制限が厳しく建て替え時に同規模の家が建てられないといった規制もあります。

市街化調整地域で中古住宅を買う人はニーズはそもそもあるのか

建物の建築が難しい市街化調整区域ですが、市街化調整区域で中古住宅を買う人のニーズはあるのでしょうか。

市街化調整区域は、農業などの保全を目的として指定されるので田舎に指定されているケースが多く、田・畑が多く、水道、ガスなどのインフラ整備がされていない、商業施設の開発が進んでいない、駅が少ないなどデメリットも多く、住宅地として考えるとあまり適しているとは言えません。

しかし、昨今では、インターネットの発達などにより、自宅にいながら仕事ができる業種も増え、田舎に生活しながら生計を立てることができるようになったり、老後は息苦しい都会よりも環境の良い田舎で第二の人生を送りたいという人も増えており、市街化調整区域のようなエリアの中古住宅にもニーズが出てきています。

又、最近では居住用としてではなく、太陽光発電のパネルを置く土地として安くて広い土地を探している人も多く、市街化調整区域の土地は安く買えるということでニーズがあります。

市街化調整区域の家やマンションはそもそも売却をする事が出来るのか

市街化調整区域が建物の建築に対する制限が厳しく、市街化調整区域の家やマンションを実際に売却しようとすると色々と影響が出そうです。

そもそも売却することができない場合もあるかもしれません。

実際には、市街化調整区域の家やマンションは売ることが可能です。

平成13年5月18日に施行された改正都市計画法により、自治体によって市街化調整区域での建築要件が緩和されているところもあり、条例に則って市街化調整区域に住宅を建てているケースも。

そのため、すでに建築されている家やマンションは市街化調整区域でも売却することは可能です。

ただし、土地として売る場合や建替え用として売る場合はかなり条件が厳しくなります。

市街化調整区域では、建築する為の制限が厳しいため、建物を建てる為に自治体に許可を取らないといけません。そのため、土地を売るにはその土地の上に建物を建てる許可を取れる土地かどうか確認する必要があり、許可が取れなければ新たに建物を建てられないケースも。

建物を建てる許可が取れない土地の売却は非常に難しいと思います。

市街化調整区域の家を売買する場合の相場はどのくらい?

では、市街化調整区域の家は相場はどのくらいなのでしょうか。

市街化区域の家と同じ価格で売却することができるのでしょうか。

やはり、市街化調整区域の場合は、買い手の需要も少ないエリアなので相場よりも安い価格で取引されるケースが多いです。

実際に市街化調整区域の家については、取引件数など相場を形成するデータも少なく、そのエリアが買い手がいるエリアかどうかが重要なポイントとなります。

最近では、家としては買い手がつかないエリアでも、土地であれば買い手がつくケースもあります。

市街化調整区域の場合、市街化区域に比べるとひとつの土地が大きく安く買えるので、太陽光発電の用地や市街化調整区域でも許可がおりやすいサービス付き高齢者住宅や住宅型有料老人ホームなどの高齢者施設、医療施設などのニーズが見込めます。

太陽光発電の場合は、投資となるのでかなり相場より安い価格になるかもしれませんが、高齢者施設や医療施設なら高い価格で購入してもらえる可能性があります。

市街化調整区域の家が安くなってしまうのは何故?

では、何故市街化調整区域の家は相場よりも安い価格で取引されるのでしょうか。

市街化調整区域の家の場合は、現在は建っている家を建て替える際に制限を受けて同規模のものを建てられないケースや建替えが出来ないケースもあります。

そのため、買い手は将来的にその家や土地を活用できなくなるリスクがある為、そのリスク分売却価格の値下げ交渉をする必要があります。

そのため、市街化調整区域の家を売却する際にはどうしても相場よりも価格が安くなります。

市街化調整区域の家ではリフォームや増築が出来ない?

家を購入して家族で生活していると新しく家族が増えたり、子供が成長すると子供部屋が必要になるなどリフォームや増築が必要になります。

市街化調整区域の家でもリフォームや増改築は可能です。

簡単なリフォームであれば市街化調整区域でも自治体の許可を取る必要はありませんが、改築や増築の場合は、建築基準法に基づいて開発許可が必要な場合があります。

改築は、建築基準法第2条13号に定義されていますが、主に建築物の全部または一部を取り壊した後に、引き続き、これと位置・用途・構造・階数・規模など大幅に変わらない場合をいい、増築とは少し異なります。

増築の場合は建ぺい率や容積率に影響を与えますので、開発許可を取らずにやると違法建築となってしまいます。

違法建築になると金融機関の融資が付きにくいので、更に売却価格が下がるケースも。

市街化調整区域の家でリフォームや改築、増築をする場合はきちんと自治体に開発許可の有無の確認を行い、必要な手続きを行った上で行いましょう。

市街化調整区域の家のデメリットとは?

市街化調整区域は、市街化を抑制する地域のため、スーパーやコンビニ、ショッピングセンターなどの商業施設など少なく、上下水道や都市ガスの整備もされていないケースも多く、生活が不便なエリアが多くあります。

又、現在建っている家は問題ありませんが、建替えや新築する場合はその土地に新たに家が建てられるかどうかといった問題が出てきます。
将来的に家が建てられない土地をあえて買うという人は少ないでしょう。

そのため、市街化調整区域の家の一番のデメリットは、買い手が少ないということです。

買い手の多い人気エリアでは、苦労せずに簡単に売却することができますが、そもそも買い手がいないとなると売却は非常に難しくなってしまいます。

最近では、スローライフが流行っており、サラリーマンが退職後に田舎暮らしをするケースも増えていますが、一般的には利便性の高い都心部に住みたい人の方が多いので、都心部に比べると需要が極端に少なくなる傾向にあります。

生活している間は、良いでしょうがいざ売却するとなると買い手を探すのに苦労するので、将来的なことを考えると敢えて市街化調整区域の家を選ぶ人メリットは少ないと考える人がほとんどだと思います。

次に、いざ購入にして住む場合には地域性が強いことが多く、その地域になじみにくいケースもあります。

やはり、市街化調整区域に住む人は、農家を営んでいることが多く、先祖代々その土地に暮らす人たちなので、閉鎖的で中々受け入れてもらえないとことも。

せっかくマイホームを購入しても、プライベートでトラブルがあると生活に支障をきたします。長期間馴染めないとせっかく購入した家を手放さないといけないということにも。

他には、賃貸を考えた場合には、上下水道や都市ガスが整備されていない、商業施設が少ない、駅が遠いなどデメリットが多いので不向きと言えるでしょう。

市街化調整区域に建つ家にはメリットはないの?

市街化調整区域では、購入する際に購入価格が安い、固定資産税が低い、都市計画税がないといったメリットがあります。

市街化調整区域を購入するにあたっては、将来的に家を建てられないなどリスクが多いので価格交渉がしやすく、安く購入できるメリットがあります。

家が安く購入出来れば、当然土地の価格も下がるので固定資産税も下がります。

そして、市街化区域では徴収される都市計画税の負担がありません。

市街化調整区域は、市街化を抑制する地域となるので将来的な開発は見込めませんが、のんびりとした環境で子育てをしたい、田舎で老後をゆっくり過ごしたいといった人にとっては、生活にかかる費用を抑えることが出来るのでメリットが多いのではないかと思います。

市街化調整区域の家を売却する場合にどんなリスクがある?

家を買う場合に、ほとんどの人が住宅ローンを組みます。

住宅ローンでお金を借りる場合は、金融機関は購入する土地や家を担保に取ることで保全をしています。

しかし、市街化調整区域の家については、物件の評価が難しく、土地や建物の担保価値が低くなるので住宅ローンを組めないケースがあります。

そのため、市街化調整区域の家を買う場合、買い手はローンが組めなかった場合には白紙解約できるローン特約を希望されるケースが多いです。

通常の売買でもローン特約を入れるケースは多いですが、ほとんどの場合ローンはほぼ通る前提で万が一に備えて入れています。

市街化調整区域の家の場合は、ローン特約で白紙撤回される確率が非常に高くなるので、せっかく契約しても契約が白紙になるリスクがあります。

白紙になると又一から買主を探さないといけませんので、売れないだけでなく、時間も無駄にすることになってしまいます。

市街化調整区域の家は売る事が出来ない?

市街化調整区域の家は売ることは出来ますが、売るのは非常に難しいと言えます。

普通に不動産会社に売却を依頼しても、売却が難しく手間が掛かるので普通の不動産会社は嫌がります。

しかし、中には市街化調整区域の家のように取扱いの難しい不動産を得意としている不動産会社もあります。

探すのは簡単ではありませんが、最近では一括査定サイトで依頼すると見つけることが出来ることも。

市街化調整区域を売却する前に確認しておくことは

市街化調整区域の家を売却するにあたり、査定を依頼する前に確認しておくことにはどういったものがあるのでしょうか。

一番重要なのは、所有している家が市街化調整区域の線引き前に建てられたか、線引き後に建てられたかです。

市街化区域の線引き前に建てられた家の場合
線引き前にすでに建築されている建物については、自治体によって増築や建替えの条件が緩和されているケースがあります。

平成13年の都市計画法の改正以前は、線引き前に建物が建てられた宅地は建て替えが出来ないのは問題だということで規制を緩和する既存宅地制度がありましたが、改正で廃止されてしまいました。

しかし、既存の所有者を保護しないといけないということで、救済策として独自で緩和を行っている自治体が増えています。

実際には、増築や建替えるには、用途が前と変わらない、同じ敷地へ建てる、同規模のものを建てるといった条件をクリアする必要がありますが、線引き前に建てられた家で緩和を受けられるのであれば購入者も増築、建て替えがしやすいので売却しやすくなります。

市街化調整区域の線引き後に建てられた家の場合
線引き後建築された建物については、行政に開発許可を得て建築された建物ということなので、所有者が変わった場合に増築や建て替えをすると開発許可の取り直しが必要になります。

中古住宅として売却した後、買い手が増築や建て替えをしたいと思って開発許可を申請したら、許可が下りないというケースも考えられます。

増築や建て替えができないとなると、買い手には大きなリスクとなりますので売却が難しくなります。

次に、土地を売る場合は地目が宅地になっているかの確認が必要です。

地目とはその土地をどういった目的でその土地を利用するかの区分けで、不動産登記法により登記所(法務局)の登記官が判別して認定を行います。

地目には、建物を建てるのに適した宅地や農業を営む田・畑や山林、原野やため池の他、いずれにも該当しない雑種地などがあり、それぞれ細かく分けられています。

市街化調整地域は、郊外が指定されることが多いので農業を営んでいる家が多く、地目が田・畑となっている場合があります。

田・畑などの農地を宅地に変更するには農地法に基づいて申請が必要となり、農地から宅地へ地目変更するにあたって、農地転用届か、または、農地転用許可、もしくは、非農地証明の手続きが必要になります。

手続きが終わってようやく法務局で田・畑から宅地への地目変更が可能となるので、申請から変更が完了するまでかなり手間が掛かります。

更に、そこから宅地造成が必要となれば費用も掛かるので、手を出しにくい土地となってしまう訳です。

逆に、宅地であれば、基本的には住宅を建てるのに適している土地となりますので、市街化調整区域の土地でも売却しやすくなります。

又、手続きが面倒なので、田・畑などの農地としてそのまま売れば良いのではと思うかもしれませんが、「農地は営農できる買主にしか売れない」という規制があり、簡単に売ることはできないのです。

他には、市街化調整区域内でも開発可能なエリアにしていされている場合があります。

そのエリアに建っている家であれば、たとえ市街化調整区域内であっても気にせず増築や建て替えなども可能となりますので売却しやすくなります。

このように、市街化調整区域内であっても、売却しやすい、売却しにくいエリアがありますので、査定する前に確認しておくことで、不動産会社との交渉を有利に進めることができます。

市街化調整区域の家でも査定に出してみるのはあり

以前は不動産の査定というと、不動産会社を訪問して色々と売却したい家の説明を行い、売却出来そうなら不動産会社が家を見に来て査定するという流れでした。

しかし、インターネットの発達で過去の売買事例もすぐに確認することができるので、不動産会社の査定も机上査定など比較的簡単にできるようになっています。

しかし、一般的な不動産会社に市街化調整区域の家の査定を依頼しても、中々売るのは厳しいので断られてしまうケースが多いと思います。

そういった場合には、一度に複数社の見積もりが取れる一括査定を利用すると良いでしょう。

一括査定サイトには、市街化調整区域のような売却の難しい家を得意とする不動産会社が登録していることがあります。

一件一件回って市街化調整区域の売却が得意な不動産会社を探すのは大変ですが、一括査定サイトなら簡単な入力で査定してくれる会社を探すことができます。

その前に、市街化調整区域にある自分の家は、建替える場合はどうなるか、新築は出来るのかなど現状を把握し、不動産会社にきちんと伝えられるようにしておきましょう。

その上で、一括査定などで根気よく市街化調整区域の家を売却している不動産会社を探すことが売却への近道となります。

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