家にはその家が「誰の所有か」が分かるように、所有権を登記しています。その登記名義人が1人の場合もありますし、複数人いる場合もあります。複数人いる場合には「共同名義」といい、家を売却するときなどは、名義人が1人のときとは異なる手続きが必要です。今回は、そんな共同名義の家や土地を売却するときの流れや注意点を解説します。
目次で簡単にチェックする
1.共同名義の家の持ち分ってどうなるの?
共同名義で家を登記した場合の「持ち分割合」は、基本的には出資比率や権利割合によります。たとえば、家を購入するときにAさんが全て購入資金を支払えば、その家は100%Aさんの名義になります。一方、夫Aさんが4,000万円のローンを組み、1,000万円は妻Bさんが支払ったとします。その時は8(4,000万円):2(1,000万円)の持ち分割合で共同名義になります。
1-1共同名義のメリット
共同名義のメリットは以下の通りです。
- ①購入時の1人当たりの負担が小さい
- ②購入時のローン審査が楽
- ③複数人で財産を持つことができる
まずは購入時に1人分の負担が軽くて済むという点です。つまり、ローンを複数人で組んだり、一部を出資してもらったり出来るということです。また、1人で住宅を購入するワケではないので、住宅ローンの審査が楽になる点もメリットです。さらに、共同名義にすれば1人だけでなく、複数人で財産を持つことも可能です。たとえば、相続のときに公平に財産分与などができます。
1-2共同名義のデメリット
共同名義のデメリットは相続時や離婚時に、手続きが面倒になるという点です。詳細は後述しますが、簡単にいうと「売却するときに共同名義人全ての許可が必要」になる点が面倒になる点です。
2.親からの相続で共同名義の家を売却する場合
結論からいうと、名義人全員で話し合って以下の点を決める必要があります。
- ①どこの不動産会社に仲介を依頼するか
- ②いくらで売却するか
- ③引渡時期はいつにするか
①については不動産会社と締結する「媒介契約」、②③は購入者と結ぶ「売買契約書」への署名・捺印が必要になるからです。特に②に関しては、事前に合意しておかないと面倒なことになります。なぜなら、交渉が上手く進まないからです。
中古物件の購入検討者は、値引き交渉する人がほとんどです。そのため、共同名義人同士で「いくらで売るか」を決めておかないと、購入検討者への返事が遅くなります。返事が遅くて検討見送りは良くあるケースなので注意しましょう。
3.離婚で売却する場合
これも前項の「相続」と同様です。名義人である夫婦どちらの許可も必要なので、上述した3項目に合意しておく必要があります。特に離婚の場合は関係性が悪化している場合があります。そのため、この3項目の②③「売却価格・引渡時期」については、確認書などの書面で残しておくと良いでしょう。
たとえば、「売却金額についての確認書」などを作成して、「〇〇万円という売却価格に合意しました」などの内容にしましょう。その書面に署名・捺印することで、お互い安心します。このようなことを行ってくれる不動産会社が仲介を依頼するべき不動産会社です。
4.ローンが残ってる場合、どうなるのか
ローンが残っている場合には、基本的にローンを完済しないといけません。なぜなら、ローンを完済しないと「抵当権」を抹消できないからです。抵当権とは、金融機関が設定している権利のことです。抵当権が設定されているということは、ローンを滞納すれば金融機関は不動産を売却する権利があるということです。
そのため、そんな権利をつけたまま家の売却はできないのです。ただ、抵当権の抹消はローンの完済が条件なので、結果的にローンの完済が家の売却の条件になります。
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5.共同名義の人がどちらかが死亡した場合
共同名義人が死亡した場合には、共同名義人の持ち分が相続されます。たとえば、兄C(持ち分50%)弟D(持ち分50%)の兄弟で家を所有していたとします。その場合にCが死亡したとすると、Cの相続人が持ち分の50%を相続します。
仮にCの相続人がCの子供Fであった場合にはFの持ち分になります。つまり、Fが50%Dが50%の持ち分割合で共同名義になるということです。
6.共同名義の家や土地は担保に出来る?
共同名義の家や土地も担保にすることは可能です。ただし、離婚や相続のときと同様に、共同名義人全員の許可が必要です。具体的には、不動産を担保にいれて融資を受ける金融機関と結ぶ、「金銭消費貸借契約」の際の署名・捺印が必要ということです。つまり、基本的には共同名義人全員が金融機関に訪問し、契約書への署名・捺印が必要になります。
7.共同名義の税金
不動産を所有することで掛かる主な税金は「固定資産税」と「譲渡所得税」になります。この2つの税金は、持ち分割合に応じて共同名義人全員が負担する税金です。
7-1固定資産税
固定資産税とは、不動産を所有している人が、その不動産の価値に応じて支払う税金です。つまり、家の名義人になっているだけで、何もしなくても税金がかかるのです。この固定資産税は持ち分割合に応じてかかります。
つまり、固定資産税が年間20万円かかり、AとBが5:5の割合で家を所有しているとします。この場合はAもBも10万円ずつの負担があるということです。ただし、これは「原則」の話であり、現実の流れは異なります。
現実には、「持ち分に関係なく、共同名義人全員が連帯して全額を納付する義務がある」と定めています。通常はここで持ち分割合に応じて負担しますが、極論はとにかく金額を納税すれば良いのです。つまり、誰がいくら支払ったかは国としては関係ないということです。この固定資産税納税の通知は、年に一度「代表者」に対して送付されます。
8.共同名義で破産した場合
共同名義人のどちらが破産した場合には、破産した名義人の持ち分が競売にかけられます。しかし、不動産は「一部」を所有しても、結局は共同名義人の許可がないと売却できないので、競売で落札される可能性は極めて低いです。
そのため、現実的には以下のような流れになります。
①破産者の共同名義人である片方の協力を得て全て売却
②破産していない片方が、自己破産者の持分を買い取る
一番スタンダードな方法は①の、共同名義人の協力を得て家を売却することです。つまり、通常の売却と同じ流れで家を売却して、その売却益を持ち分割合に応じて按分します。そして、破産した方はその売却益を返済に充てるのです。
また、資金があれば②の方法も考えられます。ただ、資金がないと結局は競売されるか①の選択肢を取ります。
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