マンションを売却するときには、賃貸中のマンションを売却することもあると思います。賃貸中のマンションの場合は通常の売却と手順や注意点が異なるので注意しましょう。今回は、賃貸中のマンションを売却するときの注意点や、相場の変動について解説します。

■賃貸中のマンションでも売却に出す事は可能なの?

賃貸中のマンションでも売却に出すことは可能です。いわゆる「オーナーチェンジ物件」という呼び方をして、投資用マンションとして売却するという流れになります。通常のマンション売却であれば、買主は自分が住むためにマンションを探しています。

一方、オーナーチェンジ物件の場合は、居住用マンションではなく投資用マンションを探している方がターゲットになります。このような点が通常のマンション売却とは大きく違いますので、売却時の注意点も異なってくるのです。

■賃貸中のマンションを売却に出す際の注意点

賃貸中マンションを売却するときには、以下の点に気を付けましょう。


賃貸中のマンション注意点

・内見は難しい
・資料が大切
・貸主の了承は不要 
・既に受領した費用の取り扱い

結論からいうと、通常のマンション売却よりも注意点が多いので、下準備を怠らないようにしましょう。

  • ○内見は難しい

まず、賃借人がいる以上、買主は内見することができません。ごく稀に、居住中の賃借人の了承を得て内見する場合もありますが、それは物件所有者(オーナー)と賃借人が特別親しい関係性の場合のみです。そのため、買主は内見できないというリスクを負うのです。

  • ○資料が大切

内見できない代わりに、以下の資料が重要になります。
・物件概要が分かる資料
・レントロール

間取り図などはもちろん、購入時のパンフットや資料なども、できる限り用意しておきましょう。買主は室内を見られない分、資料だけで判断しなければいけません。

また、オーナーチェンジ物件で最も重要なのはレントロールと言っても過言ではありません。レントロールとは、賃借人の氏名や家賃、今までの入金履歴などを記載している資料になります。つまり、賃借人がきちんと賃料を支払えるかどうかを証明する資料になるということです。

オーナーチェンジ物件は投資用に購入するので、買主が最も気にするポイントは「収益が上がるかどうか」です。その点、レントロールは収益が上がるかどうかを端的に示す資料になります。

  • ○貸主の了承は不要 

また、居住中の貸主に物件を売却する許可を取る必要はありません。ただし、「賃貸人の地位承継通知書及び同意書」は必要です。この書類は、所有者(オーナー)が変更になることを同意する書類であり、どちらかというと賃借人を守るためにあります。

その理由は、次項で解説する「既に需要した費用」で詳しく解説します。なお、「賃貸人の地位承継通知書及び同意書」は、仲介する不動産会社が用意してくれます。

  • ○既に受領した費用の取り扱い

一般的に、物件を賃貸するときには、賃借人から以下の費用を受領しています。
・礼金
・敷金
・賃料

上記費用の取り扱いについては理解しておきましょう。

  • ◎礼金

礼金は、賃貸借契約を結ぶときに、賃借人から家賃の1か月程度もらうことが多いです。これは、字の通り「お礼」のお金になりますので、この金額は買主に承継することはありません。

  • ◎敷金

一方、敷金は退去時の補修費用や、家賃を滞納したときに補填する費用になります。そのため、正確には賃借人から物件所有者(売主)が「預かっている」お金になるので、このお金は買主に承継します。この敷金の承継などに同意するために、前項の同意書があるのです。

仮に、同意書に署名・捺印をしないと、現在のオーナーから新しいオーナーへ敷金を承継したことにも同意しないことになります。そのため、退去時に改めて敷金を請求されてしまうので、賃借人を守るために同意書があるというわけです。

  • ◎賃料

また、賃料は一般的に先払いです。たとえば、4月分の賃料は3月下旬に賃借人から支払われることが多いです。そのため、賃料も預かり金となり、買主との清算になります。

たとえば4/10にオーナーチェンジ物件を引き渡したとします。その場合、現所有者(売主)は賃借人から、既に4月分の賃料はもらっていますが、4/10以降は新所有者(買主)に権利が移っています。そのため、4/10~4/30までの賃料を日割りして、その額を売主から買主に支払うという流れが一般的です。

■オーナーチェンジすると物件相場に変動ある?

結論からいうと、オーナーチェンジ物件は通常のマンションよりも売却金額は安価になりがちです。その理由は主に以下2点になります。
・内見ができないから
・収益還元法を利用する

○内見ができないから

まずは、買主が内見できない点が大きいです。内見できないということは、室内の劣化具合や設備・仕様の状態が分かりません。仮に、賃借人の使い方が悪く、室内の劣化が激しければ資産価値は落ちてしまいます。

賃借人の故意・過失による劣化であれば、賃借人が補修費用を支払います。しかし、経年劣化部分はオーナー負担になるので、経年劣化か賃借人の負担かは揉めるケースが多いです。そのため、そのリスク分、マンションの売却価格は安価になるというわけです。

○収益還元法を利用する

また、そもそもオーナーチェンジ物件と通常の物件では、売却価格の算出方法が異なります。通常の物件を査定するときには「取引事例比較法」といって、周辺で実際に成約した物件を基に算出されます。

一方、オーナーチェンジ物件は「収益還元法」といって、その物件から得られる賃料から逆算して物件価格を算出します。もちろん、必ずしも収益還元法の方が、算出価格が安価になるとは限りません。しかし、多くの物件は収益還元法の方が安価になりやすいのです。

■借家を売却する時の立ち退きについて

さて、最後に借家を売却するときの立ち退きについて解説します。借家を売却するときには、入居者に立ち退きを依頼することもあります。

しかし、結論からいうと賃借人の権利は非常に強いので、立ち退き料が必要なケースが多いです。そのため、入居者に立ち退きをお願いするかは、立ち退き料などを加味して考える必要があります。

○賃借人の権利とは?

賃借人と結んでいる賃貸借契約書は、借地借家法が基になっています。その借地借家法は、基本的に賃借人に有利な法律になっているのです。理由は、オーナーの権力が強ければ立ち退きなどを要求でき、賃借人が住む家を追われてしまうからです。

○立ち退きの場合は?

オーナー側が賃借人に立ち退きを迫る場合には、正当事由がなければいけません。正当事由とは、たとえば「賃料を数か月滞納している」などのことであり、「物件を売却したいから」などは正当事由に当たりません。

そのため、このような理由で立ち退きを要求するのは無理なので、立ち退きしてもらう場合にはオーナーから賃借人に立ち退き料を支払う必要があります。しかし、立ち退き料には相場がありません。

というのも、交渉によっては賃借人に次の転居先の費用や引越し費用まで支払うケースもあるからです。このように、立ち退きは非常に大変な交渉になるので、立ち退きさせたい場合には、弁護士や専門業者などに依頼すべきでしょう。

■まとめ

このように、オーナーチェンジ物件は通常の物件よりも面倒なことが多い点は認識しておきましょう。特に、立ち退きが絡むと非常に厄介です。なるべく立ち退きがないような売却が理想ですが、立ち退きが絡む場合は一度専門家に相談しましょう。

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